郷愁には、自分の過去がよみがえるものと、そうではないものがあります。
読み手が本当はもっていない郷愁を掻き立てるこの体験は、小説が人生にくれる大きな恩恵だと思います。

本書は、小説にとって郷愁と感傷がいかに豊かな表面を作るかを教えてくれた小説でもあります。

火星探査機が火星表面を走る現在ではファンタジーの度合いが強くなりすぎてしまった部分もありますが、この本を読んだ高校生の頃には絶妙な郷愁と異郷感で心を突き動かしてくれました。

現代に薦めるのはどうかとも思いましたが、あらゆる本には読むべき時期や時代があるのだろうということを含めて「おすすめの本」として挙げることにしました。

SFの詩人ブラッドベリが書き上げた珠玉の逸品。

宝石のような言葉が散りばめられています。