人権派弁護士の弟は なぜ消えたのか?

家族を捨てて我が道を行く弟・薫は”死の天使”こと嶌崎律子の弁護を買って出た直後、謎の疾走を遂げる。

待ち受けるサプライズをあなたは見破れるか?

「育ててくれたことには感謝しています。でも生んだことに感謝はできません。私をこのような人間として世に送り出したのは、あくまであなたたち夫婦の責任なのですから」
実の子供からそんな言葉を投げつけられ、父親は顔色を失っていた。
さすがにこのときは陽一も怒りを覚えた。
病が進行して日々弱ってきている父親に対して言うべき言葉ではないと思った。
だが薫は陽一が口を挟む前に言った。
「私のことを不出来な子供と思ってもらってかまわない。事実、そうなんですから」
そのときの薫の眼には、陽一の怒りを捩じ伏せてしまうほどの力が籠もっていた。
そのときわかった。
薫は心の底から両親を嫌っている。
(本文より)