とりの男の人生は、やがて誰も見たことのない軌跡を描いて、地に堕ちていく。
だが、いまはまだ、その少し手前。

サラバとは何か。
その力の途轍もなさに、まだ少しも気づいてはいなかった。

西加奈子作家生活十周年記念作品

1977年5月、圷歩は、イランで生まれた。
父の海外赴任先だ。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。
イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。
後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに――。