著者近影

toriisan2

Profile

鳥居羊(とりいひつじ)

作家。
2006年『SAS スペシャル・アナスタシア・サービス』で第一回ノベルジャパン大賞受賞、同書でデビュー。
2012年から、うたたP氏と楽曲制作をコラボ。

『こちら、幸福安心委員会です。』、『永遠に幸せになる方法、見つけました。』、『一途な片思い、実らせたい小さな幸せ。』などで作詞を手がける。

代表作と、その作品についての思い

『こちら、幸福安心委員会です。』

ライトノベルから、児童文芸と一般文芸の真ん中あたりへ、思い切って舵を切った作品です。
心機一転、それまでの創作手法を捨てて、新人のつもりでチャレンジしました。

作品ジャンルも、「ディストピアおとぎ話」と自称しております。

他から学ぶ心と、新しい挑戦の気概を持ち続けたい。
そのような想いで、シリーズの中でも変化しつつ、継続しております。

鳥居羊のすべての作品はコチラ

鳥居羊の本棚

小学生の時に出会った、ある意味でキッカケの作品。

わりと普通の「語り手」が、ちょっぴり変わった「主役」を描写して、事件そのものに関わっていく。
この物語構造、いろいろなところで目にしませんか?

エンターテイメントの基本形が、ホームズの物語にあるのだと思います。

シャーロック・ホームズの冒険
コナン・ドイル

ずっしりと重たい布張り装幀、表紙にレリーフされた「アウリン」の紋章。

絡み合う2匹の蛇「アウリン」のように、ストーリーラインが交叉しつつ進行する話はファンタジーとして優れている上に、1冊の「本」として完成されている、と思いました。

なんでも思い通りに願望充足していく人間は、最後になにを望めばよくなるのか?
エンデらしい人間風刺と、最後まで輝く希望も、たっぷり含まれています。

はてしない物語
ミヒャエル・エンデ

ファンタジーの名作。
原題「コーリング」は、作中で重要なギミック(魔法)でもあります。

「まことの名」を知るものは「まことの名の持ち主」を支配できる。
そんなケルト神話・北欧神話系の伝承をベースにして、吟遊するようにストーリーが語られます。

妖女サイベルの呼び声
パトリシア・A・マキリップ

児童文学の傑作。
簡潔なプロットながら、隙のないストーリー構成とキャラクター配置で、友情や信頼、思いやりといった子どもらしい、だけれども本当に重要なテーマを謳いあげています。

大人が読んでも、こんな学生生活を送りたかった、と憧れを持って思うはず。
もちろん子どもが読めば、人生で大切なものを「ココロの奥底」に得られると信じます。

飛ぶ教室
エーリッヒ・ケストナー

実のところ、ハードボイルド文体の原点と言われているヘミングウェイに、あまりにも早く接しすぎました。
おかげで小中高と、小説とは「起こったことを簡潔に描く」、外面を、目の前に見えている世界を描くものだと、ずっと信じておりました。

それからいろいろあって、特にライトノベルではカテゴリー・エラーになる文体だと知ったのですが、そういう心理描写を出来るだけ排した文章構造が、「硬質で綺麗だ」と思う心は、いまだに少しだけ持っております。

老人と海
アーネスト・ヘミングウェイ

拙著、『こちら、幸福安心委員会です。』の原点というか、リスペクト元というか、とにかくいろいろな影響を受けました。

オーウェルの突きつけてきた世界は、左回りで行っても右回りで行っても、同調圧力の強い社会が「到着する場所は同じ」、ということを端的に示しています。

しかしながら、みんなが監視社会を望み、共通の敵を憎むことで団結できるのなら、それはそれで一つの解答なのではないか・・・、と否定しきれない「なにか」を感じてしまいました。とても不気味です。

これからも、このテーマを突き詰めて考えたいと思っておりますので、別解答など思いついた方がいらっしゃいましたら、ヒントなど頂ければ幸いです。

一九八四年
ジョージ・オーウェル

最初から最後まで、まるで19世紀のオスマン・トルコを実際に見聞しているかのような、素晴らしい感覚を提供してくれます。
しかも、良質なミステリーでもあります。

ひとつの「都市」を舞台としてのみならず、重要なギミックとして描くという手法に、本当に憧れを抱かされました。

イスタンブールの群狼
ジェイソン・グッドウィン

重力が衰えるとき
ジョージ・アレック・エフィンジャー

女王天使
グレッグ・ベア

オルタード・カーボン
リチャード・モーガン

かなり乱暴ですが、まとめて「サイバーパンク」と呼んでしまいます。

肉体と人格がどのような関わり方を持っているのか? ヒトの脳と電子機器のネット接続が可能になったら、「個」というものがどうなってしまうのか?
ひょっとしたら「技術」のインストールや、「個性」のインストール、究極的には「本人」のコピーさえ造れてしまうのでは?

そのような流れで一連の作品群を捉えたときに、これらが過去作品であることに驚かされます。
SFというジャンルが、新技術の導入による「社会変容」を描くものであるということが、サイバーパンク・ジャンルでは特に顕著だと思いました。

ニューロマンサー
ウィリアム・ギブスン