著者近影

Profile

桑原水菜(くわばらみずな)

中央大学文学部史学科卒業。
「風駆ける日」で1989年下期コバルト読者大賞受賞。

近作に『遺跡発掘師は笑わない ほうらいの海翡翠』(角川文庫)、『炎の蜃気楼昭和編 霧氷街ブルース』(集英社コバルト文庫)、『弥次喜多化かし道中』(講談社文庫)等、 著作多数。

 
 
 

代表作と、その作品についての思い

『【炎の蜃気楼】シリーズ』

1990年のデビューから今日まで書き続けている『炎の蜃気楼』シリーズは、本編が2004年に完結しましたが、その後、主人公・上杉景虎ら上杉夜叉衆の過去を描く「邂逅編」「幕末編」と書き継いで、現在は「昭和編」を執筆しております。
昭和30年代が舞台で、戦後、高度成長期の日本の世相を背景に、景虎たちがそれぞれにウェイターや歌姫、医大生などになって宿敵・織田信長と闘います。

ミラージュも今年で25周年。デビュー作がこんなに長いシリーズになるとは思ってもみませんでしたが、登場人物たちと一緒に時を重ね経験を重ね、共に生きていると感じられことは本当に著者冥利に尽きます。ありがたいことです。

桑原水菜のすべての作品はコチラ

桑原水菜の本棚

いわずと知れた乱歩の傑作ミステリーです。
今読むと、昭和初期のそこはかとないレトロな雰囲気に味わいがあります。
「曲馬団」や「人が手を加えた異形者」など、乱歩独特の仄暗くも怪奇的な要素がふんだんに。
途中から冒険小説の様相を呈してくるハラハラ展開の妙など、とにかく面白いのですが、何をおいても「諸戸道雄」という男がいい! 主人公「蓑浦金之助」とともに事件の真相に迫る、頭脳明晰かつ美貌な、年上の「科学者」。
実は事件の重要な鍵を握っていて、とても頼もしいのですが、主人公に報われぬ想いを寄せています。
生い立ちから何から、とにかく切ない。
諸戸という男の悲哀こそが、この物語の肝だと勝手に思っています。
おすすめです。

孤島の鬼
江戸川乱歩

新選組隊士たちを主人公にした列伝スタイルの短編集。もちろん、近藤・土方・沖田たちもちょこちょこ出てきます(彼らが主人公の話もあります)。
新選組内の人間模様や任務を通じたエピソードが描かれていて、時に血腥かったり滑稽だったり、中にはほっこり切ない話もあるのですが、十代の頃にこれを読んで、なんとなく「人間とは不条理の中で生きる〝得体の知れない〟もの」という人生観を学んだような気がします。
あと司馬遼太郎というと「歴史小説の大家」なイメージがありますが、実は司馬先生の作品はキャラ立ちが見事なのです。血風録などは「元祖キャラクター小説の聖典」と呼びたいほどです。
私のバイブルのひとつです。

新選組血風録
司馬遼太郎