著者近影

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Profile

長谷敏司(はせ・さとし)

1974年 大阪府生まれ。
2001年 『戦略拠点32098 楽園』にて第六回角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。

2005年-2011年 『円環少女』(角川スニーカー文庫:シリーズ全13巻完結)
2011年-2012年 『BEATLESS』を『月刊ニュータイプ』連載。角川書店より単行本刊行(2012)
2013年 『メタルギアソリッド スネークイーター』ノベライズ。(角川文庫)
2014年 『BEATLESS』の世界観オープン企画、アナログハック・オープンリソースを開始。
2015年 『My Humanity』(ハヤカワ文庫JA)が第三十五回日本SF大賞を受賞。
『伊藤計劃トリビュート』(ハヤカワ文庫JA)に、『怠惰の大罪』第一章を寄稿。

代表作と、その作品についての思い

『あなたのための物語』

一番商業的に苦しかった時期、次に書くのがおそらくキャリア最後の本になるだろうと思い、当時の早川書房編集長にプロットを持ち込んだ原稿です。小説にしておきたかった思い残しはなんであるか考えた結果、死をテーマにすることにしました。

この小説を書いたことでSFに本格的に進出することになり、いまにつながっているのですから、不思議なものです。

気持ちに技術が追い付いていない小説ではありますが、当時のありったけのものを込めただけに、もう同じように書くこともできないものでもあります。

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長谷敏司の本棚

郷愁には、自分の過去がよみがえるものと、そうではないものがあります。
読み手が本当はもっていない郷愁を掻き立てるこの体験は、小説が人生にくれる大きな恩恵だと思います。

本書は、小説にとって郷愁と感傷がいかに豊かな表面を作るかを教えてくれた小説でもあります。

火星探査機が火星表面を走る現在ではファンタジーの度合いが強くなりすぎてしまった部分もありますが、この本を読んだ高校生の頃には絶妙な郷愁と異郷感で心を突き動かしてくれました。

現代に薦めるのはどうかとも思いましたが、あらゆる本には読むべき時期や時代があるのだろうということを含めて「おすすめの本」として挙げることにしました。

火星年代記
レイ・ブラッドベリ

郷愁と感傷が小説の表面を作るとしたら、骨格を作るのは物語の構成や人物の配置であり、その作られた物語を愛させるようにするのは人間の描出です。

そのあらゆる方面から隙のない、こんなふうに書けたらよいと羨んだ小説です。

代表作に選んだ拙著『あなたのための物語』とタイトルが似ているのは、意図したことではありません。
ほかのタイトルが思いつかなかったからそうしたのですが、やはり頭に引っかかっていたのだと思います。

あなたの人生の物語
テッド・チャン